抜歯後の痛みが続くとき

抜歯後の痛みが続くとき

歯列矯正で抜歯したとき、あるいは親知らずや虫歯を抜歯した場合でも、抜歯の当日には通常、その個所に痛みが残ります。しかし、その痛みは歯科医から処方される鎮痛剤で我慢できる程度のものであり、早ければ当日中に、遅くとも数日で痛みがなくなります。

ところが、抜歯の2〜3日後になって痛みがぶり返し、しかも、抜歯直後よりも強く痛むようになることがあります。そのような長引く強い痛みの多くは、ドライソケットと呼ばれる症状が原因です。

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ドライソケットとは、抜歯した痕に出来るはずの血餅(けっぺい)が形成されない状態のことです。抜歯のときには、歯根部の血管や歯肉から出血し、抜歯で出来た穴の中に露出した顎骨(歯槽骨)や傷ついた歯肉を覆って凝固します。これが血餅であり、腕や脚を激しく擦り剥いたときなどに出来るのと同じ、暗赤色をしたゲル状の血液の固まりです。その内側で歯槽骨や歯肉が修復され、やがて抜歯の痕全体が粘膜に覆われて正常な状態を取り戻すのですが、ドライソケットでは、何らかの理由で血餅が形成されなかったり、いったん形成された血餅が剥落したりして、歯槽骨の組織が剥き出しの状態になります。

血餅は組織を修復するだけでなく、傷ついた部分への細菌感染や異物の接触を防ぐバリアーの役割も担っています。従って、ドライソケットの強い痛みは、血餅がないことによって発症した細菌性の歯槽骨炎が原因とも考えられます。しかし、炎症が起きていなくても、ドライソケットを放置しておくことは出来ませんので、いずれにしても早急に治療することが必要です。抜歯の痛みが引かず、むしろ強くなった場合には、次の治療予定日を待たずに急患として診てもらった方が良いでしょう。

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